田尾団長の日記引用

麺通団公式ウェブサイト
田尾和俊 - Wikipedia

俺の尊敬する人の一人である麺通団団長の田尾さんがいい事書いていたので自分用クリップ
エントリーごとにURLがつく形式にしてくれないかなぁ

2007年4月23日の日記から

例えばこんなふうにやっている。研究室に置いてある観光情報誌やガイドブックの中から、温泉の観光情報誌やガイドブックを5種類選んで持って行って、黒板のところに並べて立てかけて、「みんなが編集長だったら、どの表紙(デザイン)を採用するか?」と質問する。表紙は、にぎやかで楽しそうなもの、オシャレで高級そうなもの、筆文字で書かれた芸術的なデザインのもの、イラストの入った子どもっぽいものなどを織り交ぜて選んである。で、これが良いと思うものに手を挙げてもらったのである。ま、高校生による人気投票みたいなものですね。しかるのち、こういう講義をする。

田尾「どれが最も優れた表紙か? 答は、“目的が提示されてないからわからない”である」

2007年4月20日の日記から

爆笑問題の太田総理といろんな人が集まって「体罰はアリかナシか」みたいなテーマで吠え合っていた。

 だからそういうのは「目的」によってアリかナシが決まるんだって。達成したい目的を掲げずに手段(体罰)の善し悪しをいくら議論しても、言い合いになるだけですよ。

 ちょっと目的に返ってみると、「学校が荒れて授業が成り立たない」という状況で、達成したい目的はたぶん、
(1)授業を受けたい生徒にちゃんと授業を受けさせたい
(2)躾ができてなくて授業の邪魔をする生徒を更生させたい
の2つですね。で、今はこの2つを同じ教室の中でいっぺんに何とかしようとして、どうにもうまいこといかないらしい。そしたら、邪魔する生徒とちゃんと勉強する生徒を分けるしかないんじゃないですか?

 まず(1)の目的を達成するためには、邪魔する生徒を別のところに分ければすぐ解決する。別の教室でも、別の学校(退学)でも。

 次に(2)の目的を達成するには、別のところに分けた彼らが言うことを聞く指導者を捜してきて(必ずいる)指導させれば更生が進み始める。その指導者は、体罰式の指導者もいれば、体罰なしで彼らを指導できる人もいる。ちなみに「どっちでも好きな方へ行け」言うたら、たぶんほとんどのみんなが体罰なしの方へ行くと思う(笑)。

 とすると、たぶん荒れている学校で「授業を受けたい生徒にちゃんと授業を受けさせたい」と「躾ができてなくて授業の邪魔をする生徒を更生させたい」の2つの目的を達成するのに最も早くて有効な手段は、生徒を分けることと、体罰なしでも指導できる指導者を用意することだということになる。ということは、この問題を解決するのに「体罰がいいか悪いか」などという話はまるで関係ないことがわかります。

 目的と手段が決まったら、あとは「どうやってやるか」の方法とタイムスケジュールだけです。「そんなのできるわけがない」と言う人は、既存のルールや前例や資源でしか考えてないからだと思います。例えば民間企業はたいていの所で、人の能力や適性で分かれて仕事をしているし、能力や適性に応じて成果を挙げられる指導者を常に捜して指導を行っているのだから。

 あるいは「躾のできてない生徒を分けるというのは機会均等に反する」という人は、違う目的(の優先順位)で話をしています。「機会均等」を最優先の目的にするなら、学校が荒れることにはある程度目をつぶらないといけない。躾は学校がやるものなのか、家庭でやるものなのか、という話も、先の目的を掲げた場合は関係ない話である。

 たいていの問題は、目的が複数あることが多い。けどその場合でも複数ある目的をちゃんと掲げて、優先順位を付けて、「目的を達成するのに最も有効な手段は何か」というところから入るのが一番建設的だと、私はそう思っています。

2007年5月2日の日記から

とりあえず目の前にあることを、相手の期待よりちょっと上の成果で返す意識を持ってやりよったら、いずれ何か開けてくるだろうということで。

柘野「それってどんなことやったらええんですか?」
田尾「何でも。ちっちゃいことから全部。例えば柘野やったら仕事で何頼まれるんや?」
柘野「資料のコピーとか」
田尾「ほなこれ100枚コピーしてくれとか頼まれるやろ? 相手はコピーが100枚揃うことを期待しとるから、100枚コピーして、コピー機から出てきた 100枚をそのまま渡したら例えば80点や。コピー機から出てきた100枚を白い紙がはさまってないか全部チェックして、枚数も数え直して100枚ちゃんとあることを確認して渡したら100点。そこで、渡す前にトントンとやってピシッと揃えてから渡したら、110点になるわけや。さらにそれをばらけんようにクリップではさんでちっちゃい紙に「○○先生へ」とかメモをつけて渡したら120点とか、そういうことよ」
柘野「気配りみたいなもんですか」
田尾「初期段階はそういうこと。そんな簡単なちっちゃいことから、レベルのもうちょっと高い企画みたいなものから営業の成果からすべてに、相手の期待よりちょっと上いう意識を持ってたら、その積み重ねでかなり変わってくると思う」

 簡単なようで、実は「相手の期待が何か」を読むという能力も必要になるから(過ぎたら余計なお世話になるし)手法としてかなり奥は深いのだが、ま、ちょっとずつね。